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「ブリーダーは儲かるの?」

見ず知らずの方に突如として露骨に問われて苦慮するときがあります。
大した関係も築いていないうちに聞かれる質問ではないと考えているからでしょう。

それでも当ホームページではお答えさせていただきます。
正直に申して「あまり儲かりません!」
子犬を販売することが出来れば、いくばくかの利益は得られますので「絶対に儲かりません!」ではないのですが。

「嘘を言っていない?」「同業者を増やしたくないから?」「正直言うと税務署が怖いの?」などなど。
本当は儲かっているビジネスだと言う回答が欲しいのでしょう。
簡単にでき、ボロ儲けし、楽で簡単で美味しいビジネスだと言って欲しいのでしょうが。

それほど儲かるのでしたら、血統書付き純血種の犬の飼育者がこれほど多くいる時代です。
皆が内職感覚でブリーダーとして営んでもなんら不思議ではありません。
家族のペットとして育てている犬が稼いでくれるのならば、それほど安易で美味しい話はありません。
驚くほど大量のブリーダーが出現するはずです。

しかし実際にはご承知のとおり、ブリーダーは多くおりません。
稀な存在です。
親戚、友人、知人にプロ・ドッグ・ブリーダーがいる方はほとんどいないでしょう。
一方、純血種犬を飼われている方を思い出してください。
深く考えるまでもなく多くの方々が犬との生活を楽しんでいるはずです。

とても多くの方々に飼育されている犬なのに、繁殖をしない理由・・・。
なぜブリーダーを営むことをしないのか・・・。
牡・牝をつがいで飼育すれば繁殖させることも出来、ブリーダーと名乗るだけならばなんら資格も不要な業種なのに。

ビジネスとして考えるのならば、非常に効率の悪い仕事であるからに尽きます。
費用対効果が悪く、金を儲けると言う目的には全く合わないからでしょう。

ブリーダーを目指し、業として考えている方は、知らぬからとは言え安易な計算を行います。
1.犬1匹にヒート(生理/発情期)が年に2回来る。
2.1度の交配によって4〜6匹の子犬が産まれる。
3.親犬はペットショップで20万円にて購入したから同程度で販売できるだろう。
4.計算すると母犬1匹いると1年間に200万円の売上は見込める!!
5.母犬を10匹も持てば年収2,000万円も夢でない・・・。

はっきりと正直に申して「この様な事は絶対にありません!」
安易な考えと計算式だけでブリーダーに手を染め、当初の認識から誤りパピーミルになったり、大量に犬を増やしたまま破産し犬たちに食餌すら与えられなくなったブリーダーも多くおります。

事実として、

1.ヒートは順調に6ヶ月周期ではありません。
2.1度の交配で必ず受精するわけもなく、せっかく妊娠しても育つ数は0匹などと言う
  ことも当たり前。
  数回の交配を繰り返しても妊娠しない子もたくさんおります。
  帝王切開も当たり前ですし、出産事故により母子共に亡くなることすら皆無では
  ありません。
3.ペットショップへの卸となれば買い叩かれ、店頭価格の10〜20%で購入してくれ
  れば感謝のレベル。
  成長してしまえば市場価値がなくなってしまいますので、どのように販売するか思案
  しなくては。
4〜5.質の高い種オス・台メスを各数頭ずつ他犬舎から購入し、交配料、健康管理
  費、帝王切開等の医療費、衛生管理費、ドッグフード代、サプリメント、ワクチン接
  種代、その他もろもろの飼育費がかかります。
  人件費、光熱費、家賃、地代、交通費等全く別途に掛かる経費です。

しかも、高価で購入した種牡・台牝も年をとりブリーディングには使えなくなります。
商売としてリアルに考えるのならば、金と時間と場所だけが費やされる邪魔な存在となります。

飼育場所に限りがあるブリーダーは、老人(犬)ホームと化し、利益を得ることから遠のくばかり。
飼育場所を広く取れるブリーダーは、効率を高め、安価な子犬価格でも利益が出るよう母犬を増やし「パピー・ミル」と化していきます。

更に厳しいことは、生き物相手の仕事ですから365日24時間気を抜く時間はありません。
元旦もまだ暗い早朝から起きだし犬の世話を始めなければなりませんし、大晦日も暗くなるまで犬の世話をしなくてはならないのです。
食餌も与えなければなりませんし、糞尿の始末は速やかに行わなければならないのです。
犬を相手に「もう少し待って」とか、「我慢して」は許されません。
しかも、体調を崩す子、交配、出産等が入れば、何時いかなるときであろうと最優先させなくてはならないのです。
旅行も行けません、どんなに楽しい予定を作ろうと急遽キャンセルしなくてはならなくなります。
拘束時間を考えれば、企業としてのビジネスなどは到底見込めるものではありません。
人件費だけでも莫大な金額となるからです。

利益追求として、ビジネスとして考えるのでしたら、絶対にブリーダーは選択しないで下さい!
近い将来に貴方とご家族と多くの犬たちが不幸になります。

私の個人見解です。
専業としてのブリーディングは止めた方が良いでしょう。
利益を考えるのならばブリーダーは止めましょう。
ブリーダーとは、趣味が高じた結果の繁殖家となるべきです。
道楽が高じ、犬好きの愛犬家が「犬バカ」となった結果が「ブリーダー」になったと考えたいものです。
「シリアス・ホビー・ブリーダー」これが正当な繁殖家を志すブリーダーの目指す先だと思っています。


                                        2010.4/1

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